個人用途であっても独自ドメインのメールアドレスを使う理由
目次
この Web サイトのドメインは tojo.tokyo ですが、tojo.tokyo ドメインを取得した目的はWebサイトを公開するためではなく、独自ドメインのメールアドレスを作成するためでした。
どうして私が独自のドメインのメールアドレスを作成しなければならないという考えに至ったのかをまとめます。
1. メールアドレスは Web における住所である
まず前提の共有のためにメールアドレスの重要性について説明します。
メールアドレスは Web 上でのやりとりにおいて最も重要な要素です(LINEを除く)。たとえ Web 上でのやりとりを Twitter や Facebook などでしか行わないと決めたとしても、 そのサービスのアカウントを作成するためにメールアドレスが必要です。 シングルサインオンなどによって別のサービスと紐付けることによっても、 アカウントの作成やログインが可能な場合もありますが、 その場合でも紐付け元のサービスのアカウントの作成のためにメールアドレスが必要です。
Web で人とのやりとりをしない場合でも、Web で何らかのサービスを使用するためには、メールアドレスを登録することになります。
また、あなたがプログラマで自由ソフトウェアの開発をしている場合には、ライセンスの表記のためにメールアドレスを書く必要がでてきます。 Web ではあなたの存在はメールアドレスによって保証されるのです。
2. メールアドレスの変更は難しい
私が中学生から学部生の途中まで、Gmail のメールアドレスを使用していました。 ドメインは @gmail.com であり、独自のドメインではありません。
具体的には思い出せないのですが学部三年生のころに Google の個人情報の扱いに対する不信などを理由として Google のサービスの利用をボイコットすると決めました。
Google から退会しようと考えたのですが、そこで障壁となったのがメールアドレスです。
まず私のメールアドレスを知っている全ての知人に対して、メールアドレスの変更する旨の通知をする必要がありました。 そして本当に大変だったのは、当時利用していた全ての Web サービスのメールアドレスを変更しなければならないことでした。
この作業はとても退屈なのですが残念なことに重要です。 メールアドレスが使用不可能になり、さらにパスワードを紛失した場合、Web サービスへのアクセスは完全に断たれます。 登録している Web サービスが多ければ多いほどこの問題は大きくなります。
このときにメールアドレスの変更は、簡単ではないと気づきました。
3. フリーメールは自由ではない
3.1. メールアドレスの変更の困難さによるプロバイダへの依存
メールアドレスの変更が困難であることを前提にすると、フリーメールの問題が浮びあがってきます。フリーメールは無料で使用できるメールサービスという意味であって、自由という観点からみれば全くフリーではありません。 メールアドレスのドメインがプロバイダのドメイン(たとえばgmail.com)の場合、メールサービスの品質の問題や、その他のサービスの使用をやめたいといった理由で、別のサービスに変更しようとしても簡単にはできません。 メールアドレスの維持のために、サービスを継続して使用しなければならなくなります。また、他にもっと良いメールサービス(たとえば、end to end での暗号化を保証する ProtonMail や Tutanota など)を提供しているサービスを見つけても、簡単に移行することができません。 メールアドレスが住所であれば、メールアドレスにおけるドメインとはドメイン所有者にとっての領地のようなものです。 ドメインの所有者は、そのドメインを持ったメールアドレスの使用者を支配できるのです。
3.2. メールが突然使用できなくなる可能性
フリーメールを提供するプロバイダは、メール以外のサービスも提供している場合が多いです。たとえば、Google では Gmail と同じアカウントで Youtube の利用することができます。 メールサービス以外のサービスであっても、サービスの利用の仕方によってはアカウントを停止されたり、最悪の場合には削除されることだってありえます。通常、アカウントの凍結や削除はユーザー側に非がある場合が多いでしょう。
意図せずに規約に違反してアカウントが削除されてしまう例として、Google フォトへの自動アップロードを有効にしたスマホで自身の裸の子供の写真を撮影してしまい、 児童ポルノと判定されてアカウントが凍結されるといった事故 も起きています。 このように意図せずに規約に違反してしまうことも起こりえます。 重要なメールアドレスが突然利用できなくなるという可能性は、到底受容できるものではありません。
もちろん、メールアドレスを突然利用できなくなる可能性は、独自ドメインを使用していてもドメインの契約の更新を忘れることによっても起きえます。 問題なのはそれが制御可能かどうかということなのです。ドメインの更新の失敗は完全な管理者の過失ですが、フリーメールにおけるアカウントの凍結の場合は必ずともそうとは限りません。 Twitterにおける虚偽のDMAC通告によるアカウントの凍結のように、全く非がないにも関わらず凍結される被害にあうことも有り得ます。 メールアドレスが使用できるかどうかはサービスの提供者に委ねられる、これこそ私が問題としていることなのです。
4. ドメインを取得して自分のメールアドレスを作ろう
ドメインを取得することの利点を並べてみます。
使用するメールサービスを自由に変更できる
- メールサーバを自分で運用してもよい
- メールアドレスのローカルパートを自由に設定できる
- フリーメールだと空いている名前しか使用できない
- ドメインを所有している限りメールアドレスは常に使用可能である
- フリーメールの場合、サービスの終了やアカウントの削除によって使用不能になる場合がある
もちろん、下記のようなデメリットもあるにはあります。
- お金がかかる
- ドメインの取得・維持にかかる費用
- 独自のドメインのメールアドレスを使用するのにかかる費用
- 多くのメールサービスで、独自ドメインを使用する場合には費用が生じる
mailbox.org であれば月1ユーロ程度(2024-06-12 更新: 独自ドメインが利用可能なプランだともう少し高いので訂正)
- 自分でメールサーバを運用する場合でもそれなりのコストがかかる
- ドメインの失効によってメールアドレスが使用できなくなるリスクがある
- ドメインを他の人に取られた場合、本人になりすまされる可能性がある
このようなデメリットも当然あるのですが、これは自由を得るために生じる対価でありどうしようもありません。実際に独自ドメインを使用するかどうかは上記のメリットとデメリットを天秤にかけて決めるのが良いでしょう。
2023-12-13 更新: 現在は Fastmail というサービスで独自ドメインのメールアドレスのメール送信・受信をしています。 サイトにアクセスすると分かると思うのですが、ユーザーが商品ではなくて顧客だと明確に表現していることに好感が持てます。 料金はサーバーを一台運用するのにかかる程度で問題なく使えています。 移行してから何も問題は起きていないし、 Masked Email という Web サービスに登録する用にランダムなメールアドレスを生成する機能も便利です。